新型コロナウイルスの影響により家賃を減額すべきか?

コラム

新型コロナウイルスの影響による売上減少や給与収入の減少を理由とする家賃減額交渉をする入居者さんが出てきていると言われています。この問題に大家さん、入居者さん、管理会社はどう考え、対処すべきなのでしょうか?

こんにちは。
成田の不動産屋、スマイル・リンク(株)の川邉です。

新型コロナウイルスの蔓延を防ぐための緊急事態宣言、これによる飲食店等への営業自粛要請が行政からなされたために、売上減少や収入減少に苦しむ事業者や会社員が増えています。

そして、そのような苦境に立たされている方から大家さんへの家賃の減額交渉、減免要請が増えているとも聞いていますし、それは事実だと思われます。

当社が賃貸管理をお任せいただいている大家さんの中にはそういった減額交渉を受ける前から心配して

「減額交渉を受けた場合はどう対処すべきでしょうか?」

というご連絡をくださる方もいらっしゃいます。

このようなご相談については当社は次のように回答しています。

【新型コロナウイルスによる売上減少を理由とする家賃等の減額交渉に対するスタンス】

☆原則として家賃の減額、免除には応じない

☆オーナーに余裕がある場合は期間3カ月程度に限定して家賃の繰り延べや分納
 により入居者様を支援する。結果的に賃貸借契約を解約することになった場合
 には繰り延べ家賃も支払って精算していただくことにする。

ようになさることが妥当と考えます、と大家さんにはお話ししています。
もちろん、当社が直接の貸主ではなく管理会社としての立場で申し上げる場合ですので、どう対処すべきかの最終決定は大家さんのご判断にお任せしています。しかし、こういう異例の事態ですので、管理会社としての見解を示すことで大家さんのお考えを整理するためのサポートになればと思って申し上げています。

確かに、突然降ってわいた新型コロナウイルス、営業自粛によって苦境に立つ入居者さんには大変お気の毒で心苦しいのですが、オーナーもローンその他の支払いを抱えている方が多く居ますし、ローンが無くても固定資産税の支払いや減価償却(資産の目減り)がありますので、決して余裕があるわけではありません。
そのような理由から、大家さん、賃貸オーナーに負担を強いることは妥当ではないと考えて居ます。
もっとも、大家さんがボランティア精神で「家賃はいらないよ!」と言ってくださるのであれば話は別です。

新型コロナウイルスへの対策として政府による家賃補助等の制度が動き出した時にどうなるのか?

もう1つ、上記のように家賃の減免をしない方が良いと考える理由の1つに、将来政府によって家賃補助等の支援策が打ち出された場合に、大家さんが減免してしまった家賃分のお金は受け取ることができなくなってしまうのではないかと懸念していることがあります。減免されたら家賃が無かったことになってしまうわけですから、家賃相当のお金を受け取る根拠が無くなってしまうのではないでしょうか。

やはり、家賃補助は政府の、行政の仕事であって、大家さんが担うことではなく、また担うことができるような小さな問題ではないと考えます。

私なら家賃や人件費の支払いができなくなったら事業を清算します

厳しいことを言いますが、どんな理由であれ家賃や人件費のような基本的な固定費を調達できないのであれば、すぐに事業を止めて清算したほうが良いと考えて居ます。
事業を清算すると従業員に迷惑をかける、取引先に迷惑をかける、金融機関に迷惑をかけるetc..。確かにあちらこちらに迷惑をかけることになりますが、業況不振による事業清算をするのに誰にも迷惑をかけずに清算することなんてしょせん無理な話です。前述の例でいえば、従業員は解雇されればすぐに雇用保険の給付を受けることができますし、取引先にしてみれば下手に取引を続けて不渡りを食らうくらいなら傷が浅いうちに取引を止めてくれた方がマシです。金融機関にいたっては貸した金を回収できないのはプロが仕事でヘマをしたというだけの話で気を遣う必要なんてないのです(私は元銀行員です。返せなくなる金を貸した方が悪いのです)。このように事業清算に対しては周りの方がある程度織り込み済みで仕事をしているわけで、従業員へのセーフティネットとして古くから雇用保険や再就職支援を担うハローワークもあるのです。

こういったことを考えると、普通はあまり考えられない「大家さんに家賃を免除してもらう」というイレギュラーな道を模索するのではなく(大家さんがボランティア精神で受け入れてくれるならそれはそれで良いですが)、少しでも余力があるうちに事業を畳んで、しかるべき時期に再起を図ることができるようにするしかないのではないでしょうか。さらに、今回の問題は家賃を減免してもらったところで、何とかなるようなレベルではないだろう、私はそう考えて居ます。

皆様はいかがお考えでしょうか?

スマイル・リンク株式会社
宅地建物取引士・2級FP技能士
川邉 雅信(かわべ まさのぶ)
〒286-0044
千葉県成田市不動ヶ岡1109番4
【受付】0120-456-816
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Mail: mkawabe@smile-link.co.jp
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~「次回も利用したい!」と評価される会社を目指して~

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