こんにちは。
成田の不動産屋、スマイル・リンク株式会社の川邉(かわべ)です。
物件を探しているお客様から
「この物件は事故物件じゃないですよね??」
と質問されることがあります。意外と多い質問です。
たしかに、TVのバラエティ番組や情報番組でも取り上げられやすいテーマですから
物件を探している方にとっては関心が在るのでしょうね。
そういうわけで、本日は、事故物件であることを隠されて買わされてしまうことがあるのか、
ということについてお話したいと思います。
【事故物件の売買~買主・売主それぞれの立場から知って欲しい事】
そもそも“事故物件”とはどんな物件のことを言うのだろうか?
最近多いという“孤独死”。これも事故物件と呼ぶべきだろうか?
不動産屋は意外とウソをつかない。ただ黙っているだけ。。
自分でできる!事故物件を買わされないための方法
過去に出会った事故物件とその後
そもそも“事故物件”とはどんな物件のことを言うのだろうか?
いつの間にか“事故物件”と言えばなんとなく話が通じるようになってしまいましたが、
そもそも事故物件と言うのは不動産業界内で「事件、事故、火災が発生した物件(場所)」のことを
略して事故物件と呼んでいたのではないかと思います。だから、明確な定義と呼べるようなものは
無いのではないでしょうか。最近は業界内で“心理的瑕疵(かし)”と表現することも多いです。
瑕疵とはキズ、欠陥といった意味ですから、心理的に不吉で嫌な印象を抱くような問題点、欠陥のことを
心理的瑕疵と表現しています。
このように事故物件の定義が曖昧な状態ですから、確かに事故物件的なものをそれと知らされずに
買わされてしまうひとも居るかもしれません。
しかしながら、ある程度マトモに不動産売買仲介をやっている(少なくとも年間数十件単位で恒常的に
取引している)不動産業者であれば、
☆殺人
☆自殺
☆火災
については、ほぼ必ず売買契約の際に告知してくれます。それも、単に口頭で告げるだけではなく
売買契約書を取り交わす前に行う「重要事項説明書」の中に記載して説明するでしょう。
なぜなら、最近の裁判例で殺人や自殺等が発生した物件の取引の際には買い手に告げるべきだという
判断がされたからです(しかし、事件性の範囲、事件発生からどのくらいの期間そうすべきか等は
全て明確になっているわけではありません)。もし、殺人、自殺等を隠して不動産取引をしてしまうと
仲介した業者の対応によっては多額のペナルティが課される可能性が高いため、どの不動産業者もかなり
用心しています。
ちなみに、不動産業者(宅地建物取引業者)の80%程度が加盟している宅地建物取引業協会では
会員の不動産業者に対して売買契約書類の雛形を提供してくれていますが、その中に「告知書」
という書式が有りまして、その告知書の中には「事件、事故、火災」発生の有無について売主の
認識を問う項目が有ります。普段から売買仲介業務をやっている不動産業者であれば、告知書の
ような書類を利用して、少なくとも殺人、自殺、火災の有無くらいは確認しています。
スマイル・リンクでも多くの場合この告知書を利用しています。
最近多いという“孤独死”。これも事故物件と呼ぶべきだろうか?
「ちょっと、待ってよ、スマイル・リンクさん!殺人、自殺、火災以外にも怖いものが在るよ!」
そうおっしゃる方も居るでしょう。わかります、わかります、その気持ち。
それでは他にどんなものを事故物件と呼ぶべきでしょうか?
スマイル・リンクでは、“孤独死”も事故物件として買い手、借り手に告げるようにしています。
おそらく60%~70%くらいの不動産業者は、孤独死も事故物件として告知している
のではないかと思います。
実際のところ、殺人や自殺を隠して取引するような不動産屋はホンモノの悪党でして、
そういう連中は話になりません。しかし、孤独死というのは微妙なところに有ります。
だって1人暮らしをしている人であれば誰だって孤独死する可能性があるのですからね。
「だれだって死ぬときは1人だ!孤独死を事件・事故扱いするなんて失礼だ!」
と逆切れすることもできそうです。
ただ、確かに誰でも死ぬときは1人ですが、死後1日以上放置されるということは
今の日本では普通ではないことですし、「亡くなった方の念が残っているのではないか。。」と
懸念を抱く人が居ても不思議では有りません。
やはり孤独死も事件事故に含めて考えるべきでしょう。
このほかに、不吉と言うか、不幸な印象を受けるものとして「離婚」とか「借金による競売」という
ものもあります。これも事故物件と言えるでしょうか?
おそらく不動産業界ではこれらはほぼ全ての会社が事件事故として扱っていないものと思います。
スマイル・リンクでもこれを事件事故とは区別しています。
ただし、スマイル・リンクでは売買契約を交わしていただく前に、売主様側の「売却理由」を確認する
ようにしています。そのため、「離婚」「競売」のときには物件をご案内しながら、あるいは売買契約の
日程調整をする際に事前にお知らせするようにしています。
要は買主様が新居に引っ越した後で近所のうわさを聞いて初めて知った、それで嫌な思いをしたという
ことが無いようにすることが大事なわけです。
不動産屋は意外とウソをつかない。ただ黙っているだけ。。
私が銀行から不動産業界に入ったときの印象の1つとして
「不動産屋って意外とウソをつかないな。」
というものがあります。世間一般には不動産屋は口八丁手八丁で
お客さんを煙に巻いて買わせてしまうというイメージが有りますが、
実際は事実に基づいたことだけを言う緻密さのほうが勝っている人が多いのではないでしょうか。
例えば、不動産業者が契約前に実施することを義務付けられている「重要事項説明」はひたすら
事実の羅列により構成されています。
ただ、困ったことに、都合の悪いことは言わない、黙っている、ということは
よくある話です。ウソを言わない代わりに、言ってあげたほうが親切だろうと思われることも
取引成立の妨げになりそうなことなら言わない、とういうスタンスが基本となってしまっています。
「仮に訴訟になっても負けないなら言わなくても良いよ」くらいの感覚でしょうか。
そこで問題になるのが、グレーゾーンが多い事故物件に関する情報をしっかりと
教えてくれるのかどうかという問題なのです。
自分でできる!事故物件を買わされないための方法
上述したような事故物件を騙されて買わされてしまった場合には
賠償金という形で騙した売主や仲介会社(故意に騙していなくても過失責任が
ある場合も含む)の責任を問うことができます。
ただ、その手続きは面倒ですし不快なことなので極力回避したいものです。
もし私が不動産業界の人間ではないとして、事故物件を回避しようと思ったら
次のような対策をとります。
<事故物件を買わされないための方法>
1)信頼できる業者を選ぶ
自分が物件を買おうとしている地域で継続的に不動産取引をしている業者を
選びましょう。事件事故は故人や遺族のプライバシーにも関わっていますので、
処理後は公にならないケースが多いです。そのため、普段からその地域で仕事を
していない不動産業者では、そういった情報をキャッチすることはほぼ不可能なのです。
不動産を探しているといくつかの不動産業者と接触することになるでしょうから、
その中から2社ないし3社程度とコミュニケーションをとりながら探すのが良いと
思います。特に売買の不動産情報は業者間で情報共有されているので、どこの不動産業者
でもあなたが気にいっている物件を紹介することができます。気になる物件を広告で見つけたら
信頼できる業者にその物件について調べてほしいと依頼すればすぐに対応してくれます。
2)チラシ、広告の“備考”“その他”情報をチェック!
不動産の広告、チラシを見ていると物件説明の最後のほうに備考とかその他という括りが
あることが多いです。通常、事故物件の場合はここに「告知事項有り」と記載されています。
そこを必ずチェックしましょう。
告知事項がある物件は他の同条件の物件よりも割安なことが多いので、そのような物件の場合は
特に確認すべきです。
3)気に入った物件があったら必ず売主様の“売却理由”を確認しよう!
事故物件かどうかに限らず、不動産業者を通じて必ず確認したほうが良いのが
売主様の売却理由です。転勤、帰省のように物件がどうこうではなく売主様の個人的理由に
よって売却するのであれば問題なしですが、
「隣の住民とのトラブル」「季節によって悪臭が発生する」
などという理由もあります。
このようなことこそ、まさに「不動産業者によっては教えてくれない。」典型的なものですので
ついでに聞いてみるべきでしょう。
不動産屋はなかなかウソは言わない人が多いので、具体的に有り無しを訪ねられれば、
知っていることは話してくれる人が多いと思います(そう祈っておきます)。
4)「殺人、自殺、火災、孤独死」はこの物件で発生していませんか?とはっきり聞く
3)とも関係しますが、具体的にはっきりと質問することがコツです。事件事故は無いか
というと曖昧さが残るので、あなたが嫌だと思うことを特定してはっきり聞いてください。
過去に出会った事故物件とその後
最後に(こういうテーマでお話してきて「最後に」と言うのは怖い気がしますが、、)、
私が今までに見たり、出会ったりしてきた事故物件について印象に残るものをいくつか
ご紹介したいと思います。
1)勝手に物件内に入り込んだホームレスが孤独死していた社員寮(千葉県鎌ヶ谷市)
大手企業の社員寮で、社員寮としての使用を停止していたあと、しばらく未利用のまま
にしていた間にホームレスが住み込み、そして死体で発見されたという案件でした。
敷地が大きかったこともあり一般の方では購入しにくく、結局は分譲会社が買い取って
建物を解体、区画を整理して戸建分譲地として販売されました。
しっかりとした分譲会社が分譲していたので、チラシの備考欄に「告知事項有り」と
明記していて、広い分譲地の中でもどのあたりで死体が発見されたのかをしっかりと
告知した上で綺麗に分譲されました。
2)1人暮らしの中年男性が孤独死体で発見されたマンション(千葉県成田市)
第1発見者は私でした。しばらくはその光景がフラッシュバックするほどの衝撃でして、
1年ほどはふとした拍子に突然思い出してしまったものです。
きちんとした形で弔ってあげたかったので立派に修行されている僧侶の方に北関東から
来て頂いて現地で読経していただき清めの儀式をしていただきました。
その後、事情を全てお伝えした上で、会社が自社の社員寮にするということで買い取って
くれました。
このときは、他にも事情を知った上で買いたいという方も出てきて、孤独死の場合は自殺や殺人とは
区別して考える人も多いのだなという印象を受けました。
3)1人暮らしの男性が自殺した賃貸アパート(千葉県富里市)
当社で取引するには至りませんでしたが、しっかりとした管理会社が関与していただけに
広告物にはきちんと告知され、家賃も相場の50%程度と割安な設定になっていました。
入居者募集から半年程度で成約になった模様です。
4)独居老人が孤独死体で発見された戸建住宅(千葉県松戸市)
当社で取引した案件です。きちんと告知した上で一般のお客様に購入していただきました。
この物件はほぼ相場程度で売れています。購入してくれた方は「まったく気にしません。」
という方で、死生観が独特と言うか大きいというのか、すごい方だなと惚れてしまいそうな
方が購入してくれました。
5)夫が妻を家屋内で殺害し自分も自殺した無理心中の戸建住宅(千葉県柏市)
当社柏店の近所で発生した事件です。
ある日、店のすぐそばの裏路地でブルーシートが被せられている家が有りましたので
すぐに事件だと気づきました。その後の報道で詳細を知りましたが、知り合いの不動産業者が
先に関与していたので、この物件の売買には関与しませんでした。
事件が発生した建物はしっかりしていましたが、かなり値を下げても買い手はつかず、
最終的にはアパート経営をしている人が買取って、建物を解体してアパートを建築しています。
建築している職人さんたちは事件現場とは知らずに作業していたそうですが、入居者募集の際には
告知するのでしょうか?
以上です。この記事を読んでくださっている方の中には
「事故物件って多いな」という印象をもたれた方も居るでしょうが、
殺人というものはさすがに滅多に巡り合うことはありません。
自殺はごく、ごくたまに。孤独死はたまに、、という程度です。
もちろん事故物件を避けたいのであれば避けるべく対策を講じるべきですが、
実は不動産探しの時にはもっと身近に気をつけたほうが良いポイントがたくさんあります。
むしろ、滅多に出会わない事故を気にするよりも、そういったものにこそ注意を払うほうが
大切じゃないかと思います。事故物件対策は、それらの注意すべきポイントを見つけることにも
通じますので、この記事の内容が安全な物件探しの一助になれれば幸いです。
千葉県成田市、富里市、印旛郡栄町等であれば、当社でもかなりの情報を把握していますので
ぶらりと当店にお立ち寄りになってください。
それから、事故物件の所有者の方、
事故物件は不動産屋に任せきりにせずに、きちんと買い手、借り手に告知させるようにしましょう。
不動産を売ったり貸したりしてお金を得る以上、売主、貸主には一定の責任が課せられます。
だから、仮に不動産業者が「そんな何年も前の事故のことなんて告知しなくても大丈夫ですよ」などと
言ったとしても「自分にも責任が在るから。」と言って必ず書面で告知すべきだと思います。
本当に大丈夫なら告知しても大丈夫なはずなのです。
世の中には色々な考えの方がいらっしゃいますから、相場よりは安くなってしまいますが、
事故物件でも買い手、借り手は現れます。もちろん、そのような買い手、借り手に来ていただくためには
不動産業者が何らかの対策を講じる必要が在るわけですが、とるべき対策をとれば、きちんと
事実を告知した上で成約になりますから安心してください。
決して甘言に乗ったりしてはいけません。故人も浮かばれないし、最終的に売主様・貸主様自身が
損をしてしまいますよ。
スマイル・リンク株式会社
宅地建物取引士・2級FP技能士
川邉 雅信(かわべ まさのぶ)
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